企業にとって売上の数値とは、単なる数字ではありません。その企業が提供している商品・サービスが「いかに社会に求められているか」を示す「社会貢献のバロメーター」になるものです。そして営業はそのバロメーターを直接的につくり出す、企業にとっても社会にとっても価値のある仕事と言えます。
これほど価値がある仕事なのに、「営業活動がプロセスとして可視化されており、KPIが設定されている」「体系的な知識やスキルを教える制度・仕組みが整っている」「営業同士で知見・ノウハウを共有し、切磋琢磨する環境がある」という営業組織は少ないように感じます。それは多くの企業や人が、営業の仕事は「知見・ノウハウ・スキルなど個人の力量に依る仕事」と考えているからです。
ではなぜ営業は「個人の力量に依る仕事」というイメージがあるのでしょうか。それは営業の仕事の成果が「数字」となってダイレクトに表れることから、個人成果主義と結びつけられてしまうことに理由があります。それ故、多くの企業が自社の営業担当者を奮起させるべく「自分の数字がそのまま給料やボーナスの査定額・ポジションに影響する評価制度」を取り入れているのです。
しかし、こうした制度や環境により、営業担当者は自身の持つ営業ノウハウや知見を公開しなくなります。公開すれば自らのライバルを増やすことに繋がり、組織内での自分の立ち位置が危うくなるためです。「ニーズのヒアリング方法」「効果的なトークの仕方」「クロージングのやり方」といったプロセス・ノウハウは見せずに、成果だけを見せるようになります。こういった背景から営業組織は属人化が進みやすく、一人のデキる営業担当者がたくさんの顧客を持ち、大きな数字を抱えるようになるのです。
実際に「一人のエースが営業組織全体の成績を左右する」という話はよく聞きます。そしてそうした現状を「問題視していない」という企業も多いです。しかし一人のエースに頼る営業組織は、その担当者が何らかの理由で1日でもいなくなればプロジェクトや業務が滞り、売上数値が低下してしまうリスクを抱えています。そういったリスクを担当者自身も理解しているため、残業や休日を返上してでも働いていることが多く、結果として効率が悪くなっているケースがほとんどなのです。
さらにエース社員は「自分だけが頑張っている」という思いを抱くようになり、給料や待遇に対して不満を抱きやすくなります。そのまま競合他社に好条件で引き抜かれてしまい、顧客リストと共に退職してしまうことも珍しくありません。担当者がいなくなってから、ノウハウやプロセス全てがブラックボックス化していることに気づいても後の祭りです。新しい担当者は前任者と同じクオリティを保つことができず、顧客からの信用を得られなくなり、企業は大幅な売上低下に繋がります。
このように人に依存する営業組織は、担当者がいなくなれば数字が下がり、会社の売上も下がるという不安定な状態です。会社に知見・ノウハウを蓄積し、営業全員が売れる仕組みをつくっていかなければ、安定した経営を実現することはできないと言えるでしょう。
目指すべきは、全員が売れる強い営業組織。そのあるべき姿に近づくためには、単に営業担当者一人ひとりの能力開発をするだけでは足りません。営業プロセスやフローを確立もしくは改善し、営業担当者の思考・行動を改善していく、といった組織全体の改革を行なう必要があります。
組織全体の改革となれば、社内の人間だけでは客観性に欠けるため困難です。かといって外部からアドバイスをもらうだけでは成功しません。大切なのは、貴社の営業現場に入って協働しながら「あるべき姿」に近づけるために実行支援していく存在です。その役割を、私たちリーディングパートナーが担います。