小手先では通用しない。提案書策定とプレゼンテーション
今回のコラムでは、提案書の策定とプレゼンテーションについてお伝えします。
「もっとうまく提案書を作りたい」と考える営業は多く、私たちの所にもよく提案書の作り方について相談が来ます。
しかし多くの相談が「策定」ではなく「作成」の相談です。残念ながら、この時点で良い提案書はつくれません。
なぜなら、「策定」と「作成」では目指すところが違うのです。
- 策定・・・政策や計画などを色々と決めること
- 作成・・・文章や計画などを作ること
言葉の意味を見ても分かるとおり、多くの相談は「見た目や単なる構成上の上手さ」を求めてのもの。つまり「テクニック」を教えて欲しいというものです。
しかし「テクニック」とは、「スキル」があって初めて効果を発揮するものです。
- スキル(技術)・・・論理に裏づけられた訓練や学習など、自らの努力によって熟練された能力
- テクニック(技巧)・・・ある決まった状況下(スキルが使える)で、極めて即効性のある効果を発揮できる手腕
スキルのない方がテクニックを使おうとしても、それはただの小手先となってしまいます。
それでも、人はテクニックを欲しがります。しかし、努力してスキルを身につけていく過程を面倒に思うような方に、いい提案書を書くことは「絶対に」できないのです。
ここまで読んで「いちいち面倒だな」と思わないあなたには、ぜひこの先も読んでいただきたいです。
提案書ではない提案書
そもそも「営業における提案書」の相談以前に、本質的には「提案書」ではないものがあります。
- 企画書・・・提案側の都合でまとめられた相手へのアイデア
- 事例集・・・他社の成功事例が主になっている
企画書は、お客様が当事者意識を持ちづらいため、営業的にはNGです。社内においては良いかもしれません。
事例集は、あくまで他社の話であり、「同業の他社様はこのように成功しました」という内容なので、お客様からはただの興味本位で見られるか、「参考になりましたが、当社は状況が違いますので」と反発を買うだけになります。実際に興味本位で他社事例を聞いてくるお客様もいますが、そのまま話を進めても受注には結びつきません。
百歩譲って、企画書や事例集が受注に結びつかないとは言わないまでも、対応できるのは「顕在化されたニーズ」に限ります。
理想とする営業力は、「お客様も気づいていない潜在的な課題を顕在化させること」にあります。そのためには、きちんと顧客を知ることが大事で、相手の目指す理想を把握し、課題を設定するといったフローを踏んでいく必要があります。
そして前回のコラムでお話ししたとおり、策定した提案書を媒介として、お客様からの反論や意見などを受け入れながら、議論によって「相手のための提案書」を完成させます。
Vol.4 ~提案でやるべきこと、やってはいけないこと。「自己満足の提案」に陥らないための心得。
プレゼンテーションの目的
提案書を媒介とし、お客様との議論を発展させるためには、プレゼンテーションが重要です。それも、双方向のコミュニケーション型でなければなりません。「ただ資料を読み上げている」「説明をする」営業パーソンになっている場合、ぜひ見直してほしいポイントです。
プレゼンテーションの場は、“お客様の問題が解決されて幸せになる未来”を実現するために議論しあうので、本来であれば、お客様は“自分事と考えてワクワクする気持ち”になるはずです。そのために営業パーソンは、とことん考えて提案書を策定しなければならないですし、口先だけでなく、責任と覚悟を以て、プレゼンすべきなのです。
このような“心構え”も営業のスキルのひとつです。
営業における“考え方”“心構え”を理解しているからこそ、思考が変化し、行動に変化が現れ、結果を出せるようになります。まずは「営業スキルをしっかりと身につける」ことこそが、提案書作成とプレゼンテーションの上達に向けた大切な一歩になるのです。
───いかがだったでしょうか。
「営業スキルについてちゃんと勉強したい」と思う方は、ぜひ当社の研修を受けてください。営業マインド、スキル、そしてテクニックについて、実際の研修でもしっかりと時間をかけて教えています。
このコラムがあなたの提案に役立てば幸いです。