クロージングは“最後のアクション”ではない。クロージングの正しい考え方と本質を知ろう。
営業成績が振るわないという方の中には「クロージングができない」「クロージングが苦手」と感じている方もいるのではないでしょうか。
クロージングの良し悪しは成約率や営業成績に直結するため、苦手意識を克服したいという方は多いはず。しかし一方で、どのようにクロージングのスキルを身につけたらいいのかが分からない、という方もいることでしょう。
スキルを身につけるためにはまず、クロージングへの正しい考え方を知らなければなりません。今回のコラムでは、よくあるクロージングの失敗例やその原因、そしてクロージングの正しい考え方についてお伝えしていきます。
よくあるクロージングの失敗例とその原因
たとえば、以下のケースに身に覚えがありませんか?
- 商談後の失注率が高い
- お客様から「また連絡します」と言われてそのまま待っていた
- 「断られるかも」と思い、自分から契約について言い出すことができなかった
これらはすべてクロージングに失敗しているケースです。
こうした行動をとってしまう原因は3つあると考えています。
■受け身(お客様任せ)になっている
意思決定をくだすのは「当然のことながらお客様」という考えから、相手の依頼や要望を待って対応することを良しとしていませんか?これは営業としての正しい在り方がわかっていないということです。
■抵抗感がある
しつこく相手に迫ることへの抵抗感がある状態です。ただし、これは自分に自信がないことを棚に上げ、他責にしていることに気が付いていないという意識の問題があります。
■知らない、出来ない、わからない
スキル不足、経験不足により、どのようにクロージングをしたらいいのかが分からない状態です。
上記が主な理由ですが、3つが混在していることが多いです。その本質は、心のどこかで「お客様から営業にとってのネガティブな発言をもらうことを恐れているから」と言えます。「ガッカリしたくない」「傷つきたくない」という自分主体の考えが根底にあるのです。
相手の選んだ答えが「NO」、つまりネガティブな返答であってもガッカリしない。
相手が「本音」を伝えてくれたこと、相手のことが「また1つわかったこと」を嬉しく思いましょう。
自分主体ではなく、お客様主体で考えることが大事です。クロージングに限らず、すべての営業フローにおいて言えることです。
クロージングの定義とは?
そもそもクロージングとは何なのでしょうか?まずはクロージングの定義についてお伝えしましょう。
【クロージングの定義】
商談を締めくくり、契約を締結するためにすること
おそらく、この定義自体はよく知られていると思います。しかし「締める」という言葉の響きからか、申込や契約をもらう、いわゆる受注しようとするアクションは「商談の最後のほうですること」だと考えている人が多いです。
それが正しくないのです。商談を締めくくり、契約を締結するためには「営業フローの全ての場面」でクロージングすることが大事だと捉えましょう。
最終局面になってから相手に購入の決断を迫ると「説得」となって強引になり、破談することが多くなります。場合によっては上司が出てきて巻き返すなど、結果として時間を要することになります。
クロージングの本質とは、相手の本心・本音を確認すること
クロージングは「最終局面」で相手に購入の判断を迫るのではなく、「その都度」相手の意思を確認し、自身にコミットをしてもらうことが大事になります。
【正しいクロージングとは】
営業フローにおいてその都度、
相手の意思を確認し(テストし)、
相手が「納得」するまで先に進まないことを暗黙の「約束」とした、
相手との信用と信頼の上に成り立つ、
相手と「合意形成」する技術(テストクロージング)のことです。
「合意形成」ですから、まずこちらが自身の考えを明確に伝える(言い切る)ことが重要です。
その「明確さ」があるからこそ、相手は「本心」「本音」で答えることになるのです。
クロージングの本質は、こちらの希望通りの返事をもらうことではなく、相手の「本心」「本音」を確認することなのです。
営業のスタンスが明確でないと相手は適当に答えることになり、「本心」「本音」が見えません。「もし良かったら、今後、みんなで食事にでも行きましょう」という伝え方と「あなたのことを大事に思っています。今度デートしてください」という伝え方では、明らかに違うということです。
念頭に置いてほしいのは、本音で話していないお客様は実に多いということです。
お客様は色々と判断をし、意見や考えを言ってきます。それは自らを客観的に見て判断しているだけであり、決断を迫った時に初めて自分事になります。それがインサイトと言われるものであり、いわゆる「本音」です。自身が本音で話していないことに気づいていないお客様は多く、だから迷う、決められないが起こるのです。頭では良いと思っていても、本音では「これでいいのか?」と恐れを抱いています。
それを、クロージングすることで、お客様をお客様自身の本音と向き合わせるのです。
「なぜ問い合わせてきたのか?」「なぜ関心があったのか?」「なぜやるべきなのか?」「なぜ今なのか?」「なぜこのシミュレーションなのか?」「なぜこの商品なのか?」「なぜ私が担当なのか?」をイチから懇々と整理していきます。そして「もうあとはやるだけです!」まで持っていくのです。最後にだけクロージングをすると最初に戻らないといけなくなるので、1商談、1商談、1フェーズ、1フェーズ、小さなクロージングを積み上げることが大事になります。
とはいえ、これは相手に踏み込むことなので勇気がないと出来ないことです。
クロージングには勇気が必要なのです。
クロージングを正しく理解できている人はほとんどいないか、非常に少ないです。
それは先ほどもお伝えしたとおり、クロージングについて間違って理解している人が多いうえに、「クロージング」という行為そのものが言語化して伝え難いものだからです。
クロージングは「身体知」で理解するもの
「身体知」とは、頭で考え「習得」する「知」とは違い、実体験に根差した「体得」する「知」のことを指します。そのため他人には説明し難く、出来る人だけが体得しているスキルで、意識してトライアル&エラーを繰り返すしかありません。様々な環境下や状況下で、様々な人とのコミュニケーションの相互作用の中で培われるものですので、「断られる」ことを恐れずに勇気を持って、数多く実践することが大切になります。
つまりは、クロージングの論理(ロジック)を理解し、その上で「出来ない理由」を明確にして「できる条件」を揃えていき、「身体知」に落とし込んでいくという事です。
───いかがだったでしょうか。
ご自身のクロージングへの考え方が、大きく変わったのではないでしょうか。
正しいクロージングをしたいのなら、まずは正しい考え方を知ることが大切です。本気で変わりたいと考えるのであれば、一度リーディングパートナーの研修を受けることをお勧めします。
このコラムでの気づきが、あなたの営業活動に役立てば幸いです。