“お客様の「要望」をよく聞く”というのは間違いです。反響営業の落とし穴 | 株式会社リーディングパートナー(LEADING PARTNER)

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vol. 07

“お客様の「要望」をよく聞く”というのは間違いです。反響営業の落とし穴

「お客様の要望をよく聞いて!」と指導している上司や先輩がいます。
そんな営業部門は漏れなく、“成約率が頭打ち”になっています。

MAツールの功罪

MAツールの活用が一般的になった今、長らく「TELアポイント」などのアウトバウンドセールスをしていた企業のほとんどが、営業手法を「インバウンドセールス=反響営業」に変更しています。

営業パーソンの育成に時間が掛かることを考えると致し方がないとは思います。
ただ、それと共に「営業がわかる人」が減り、「自らの営業スキルが低いことに気づかない営業部」が増えています。

マーケティング担当のみなさん。
「新規CVが足りない」「リードの属性が悪い」などと営業部から言われていませんか?(笑)

反響営業の落とし穴

CV(Conversion コンバージョン)獲得の際、ホットリード化を目的に、お客様の「要望」や「条件」を情報として取ることがあるのではないでしょうか。
そのリードに対し、営業部が以下をしていることが少なくありません。

  • CVで要望・条件が取れる → アプローチ時に、他に「要望や条件」がないかを確認しようとする
  • CVで要望・条件が取れない → アプローチ時に、「要望や条件」を教えてもらおうとする

これをしてはいけないとは言いませんが、アプローチの際に「積極的に取り組んでいる」営業部は、漏れなく“成約率が頭打ち”になります。

理由は、シンプルです。
やっていることが「営業」ではなく、「販売」になっているからです。

「営業」と「販売」の違いに気づけない

結論から言います。

「営業」と「販売」は違うので、販売をしている限り、営業スキルは上がりません。
そして、その違いに気づけていない。
ただ、それだけの話です。

【販売】的な対応
・営業が自ら積極的に要望や条件を聞く
・お客様からは、営業は「売りたい人」に見えている
・お客様からは、営業が「自社商品を買う相手かどうか」を探っているように感じる
・お客様は、他社でも営業から要望や条件を聞かれた経験がある
・営業がしていることは、型やスクリプト通りなので、熟練した社員(正社員)でなくてもできる
・営業は、お客様の要望や条件が明確でないと売れず、売れたとしてもお客様の満足度は低い

つまり、「営業にとって簡単な対応=お客様にとって価値は低い」ということです。
なので、安価な商品であればそれほど問題はないでしょう。
そのうち、AIで代行できるかもしれません。

【営業】的な対応
・お客様が伝えてくる要望や条件は、一旦、聞くが、自ら積極的には聞かない
・お客様が要望や条件を伝えてきても、問題の裏返しだと受け止める
・営業は、問題があるのでは?と心配しながら、お客様の現状を聞く
・営業は、聞いた現状からお客様の問題を想定して、問い合わせる
・お客様は、営業が心配してくれるので、相談したいと感じる
・お客様からは、営業は「売りたい人」に見えないので、問題を伝える
・営業は、問題の解決策を提案できることを伝える
・お客様は、問題が解決できるなら提案してほしいと考える
・営業は、問題が解決できれば、要望や条件通りでなくても良いですか?と聞く
・お客様は、自分のことを心配してくれる目の前のこの人からの提案がほしいと感じる

このような対応ができる、スキルのある営業からすると容易いことですが、スキルの低い営業からすると、面倒で難しいことです。

つまり、「営業にとって難しい対応=お客様にとって価値が高い」ということです。
高額な商品、まして無形な商品であれば、満足度の高い対応でない限り「この人から買いたい」とは思わないのです。

お客様は、「要望・条件通りだから買う」のではなく、「問題が解決できるから買う」のです。

営業的な対応をする販売スタッフの話

例え話を1つ。

あなたは、引っ越したばかりの友人の家に遊びにいく途中です。
友人宅の最寄りの駅は、初めて降りた駅でした。
手土産を買おうと、駅前のケーキ屋さんに入りました。
ショーケースにたくさんの種類のケーキが並んでいて、どれも美味しそうで迷います。

あなた:「人気があるのはどちらですか?」
販売スタッフA:「こちらが一番人気です」
あなた:「ほんとだ、一番人気って書いてありますね・・・」
あなた:「こちらは日持ちしますか?」
販売スタッフA:「本日中にお召し上がりください」
あなた:「そうか・・・」
販売スタッフA:「いかがいたしましょうか?」

このやり取りを聞いていた販売スタッフBが、声を掛けてきました。

販売スタッフB:「ご来店は初めてですか?」
あなた:「そうなんです」
販売スタッフB:「お土産ですか?」
あなた:「そうなんですよ」
販売スタッフB:「持っていかれる先には、小さなお子様はいますか?」
あなた:「います、います!」
販売スタッフB:「今、16時ですから、ケーキを食べてしまうと夕飯が食べられなくなってしまうかもしれませんね」
あなた:「確かに・・・」
販売スタッフB:「せっかくのお土産ですし、お子様が食べたいと言い出したら、お母さんも困ってしまうかも(笑)」
あなた:「ですかね・・・」
販売スタッフB:「であれば、こちらのパウンドケーキはいかがですか?日持ちもしますし、小さくカットして食べてもらえるので」
あなた:「夕飯前に少し食べて、あとは、デザートがいいかもしれないですね」
販売スタッフB:「このパウンドケーキ、お土産用として評判が良いのですが、近所の方は意外と食べていないという声を聞くので、もしかしたら喜ばれるかもしれませんね」
あなた:「これにします」

あなたは、このあと、友人にお土産を渡しながら、お店での出来事を話しました。

友人:「知ってる!あの店員さんいいよね!」

───このあとのことは、ご想像にお任せします。

あなたなら、次に友人宅を訪れる際、このお店に行って、
販売的な対応をする販売スタッフAさんに相談しますか?
営業的な対応をする販売スタッフBさんに相談しますか?

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